政策金利・国債・住宅ローン│3つの金利から読む今年の不動産市場

夏の賑わいが落ち着き、新学期の始まりとともに住宅市場もピークシーズンを過ぎました。内見や取引件数はやや落ち着きを見せていますが、一方で買い手・売り手ともに気になるのは、これからの金利動向なのではないでしょうか。ここからは、FRBの政策金利、10年国債、そして長期固定ローン金利の動きと今後の見通しを整理してみましょう。

2025年の住宅市場を巡る金利環境は、依然として大きな注目点です。まずFRBの政策金利は、インフレ鈍化を背景に9月に0.25%引き下げられました。
これは景気過熱を抑制してきた局面から、緩やかな緩和への転換を示す動きですが、住宅ローン金利に直結するわけではありません。

一方で住宅ローンにより強く影響するのが10年国債利回りです。
今年に入ってからも景気指標やインフレ見通しに敏感に反応し、夏場までは4%台後半を中心に推移。
9月以降は利下げ観測が広がったことでやや低下基調となっています。
ただし国債市場は財政赤字拡大や世界的な資金需要の影響を受けやすく、先行きの変動幅は小さくありません。

こうした動きを背景に、長期固定住宅ローン(30年固定)は年初6.5%前後から始まり、夏にかけて6%台半ばで高止まりしました。秋以降はわずかに低下が見られるものの、依然として高い水準です。利下げが始まったからといって即座に住宅ローンが下がるわけではなく、住宅購入希望者にとっては依然として資金計画の慎重さが不可欠な状況といえます。

今後については、FRBの追加利下げが段階的に進むとの見方がある一方、住宅ローン金利の実効的な低下は10年国債利回りの動向に大きく左右されます。多くの調査機関は2025年末時点で30年固定が6%前後、2026年には5%台後半への低下を見込んでいます。
ただしインフレの再燃や米財政不安による金利上昇リスクも残るため、急激な低下は期待しにくいが、緩やかな改善が続くというのが住宅市場関係者の共通認識です。

結論として、2025年の住宅市場は金利低下の追い風を徐々に受ける可能性があるものの、当面は6%前後の水準を前提にした堅実な判断が求められる局面といえるでしょう。

この記事の筆者:リロ・リダック シカゴオフィス
小池 祐輔
Phone:847-758-1700
Email:YKoike@redacinc.com

シカゴやその他エリアで住宅購入や投資をご検討の際は、是非リダックへお気軽にお声掛け下さい!