注目の街・NYホワイトプレーンズと入居審査方法の変化について

パンデミック後のニューヨーク近郊では慢性的な住宅不足を背景に賃貸アパートの建設が加速し、ハドソン川沿いのヤンカースやタリータウンでは再開発によって新築物件が次々と供給されてきましたが、近年はその動きが内陸部にも及び、ウェストチェスター郡の中心都市ホワイトプレーンズ(White Plains)が新たな注目エリアとして存在感を高めています。

これまで同市で日系企業駐在員に人気のある物件といえば15 Bank Apartments、Avalon White Plains、One City Place、Continuum 55といった限られた選択肢にとどまっていましたが、2022年にThe Mitchellが完成したことで状況は変わり、さらに今年は駅前に25 North Lexがオープン、続いてAVE Hamilton Green 25も入居者募集を開始するなど、新築アパートの供給が相次いでいます。これらの物件はいずれもジムやプール、ラウンジ、コワーキングスペース、ルーフトップテラスなど洗練された設備を備え、家賃は2ベッドルーム/2バスルームで月額4,000~5,000ドルと近隣の一軒家賃貸と比較して割安感もあるため、利便性と快適性を求める入居者層を取り込んでいます。

賃貸物件を借りるにあたり、注意すべき点として入居審査方法の変化があります。ニューヨーク州の規定により敷金は家賃1か月分までと制限されているため、アパート側は「敷金750ドル」などと低額を宣伝するものの、実際には良好なクレジットヒストリーを有する入居者にのみ適用されるケースが多く、クレジットヒストリーのない駐在員などはこれまで敷金1か月分を支払うことで入居できていました。しかし、近年はThe Guarantorsのような保証会社の利用を義務付ける物件が増加しています。保証会社を利用する場合は支払う費用が退去時に返還される敷金とは異なり一切戻らないため、入居希望者にとっては追加的な負担となりますが、アパート側にとってはリスク回避につながることから、この流れは今後も拡大していくと予想されます。

日系企業のオフィスやウェストチェスター最大の日本食スーパー「大道」が立地し、日本人にも馴染みの深いホワイトプレーンズは、駅前の再開発とともに都市的でモダンな街へと変貌しつつあり、今後ますます注目すべき住宅市場となっていくと言えるでしょう。

【ウェストチェスターの動画です。ぜひご覧ください】



この記事の筆者:リロ・リダック ウェストチェスター・オフィス
荒井伸一


1998年よりNY在住。エンジニアリング、翻訳、通信、ITなど多彩な職種を経験し、不動産の世界に入る。不動産エージェント歴10年。成人した3人の子供達は全員バイリンガル。親として日米両国の教育を経験。ご質問等あればお気軽にお問合せください。

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