家賃据え置きが生む「空室不足」の連鎖 

2026年夏のニューヨーク賃貸市場では、マンハッタンの家賃が過去最高水準で推移する一方、レントスタビライズ物件(家賃値上げ制限付きアパート)の更新時家賃が据え置きとなったことが大きな話題となりました。 

レントスタビライズ物件とは、一定の条件を満たすことで、毎年の家賃上昇率が市のルールによって制限されている賃貸物件です。今年、ニューヨーク市のRGB(Rent Guidelines Board)は2026年10月から2027年9月までに始まるレントスタビライズ契約について、1年更新・2年更新ともに家賃の値上げ率を0%とすることを決定しました。2年契約まで含めて0%になったのはRGB史上初めてと報じられています。 

一見すると入居者にとって朗報ですが、市場全体には別の影響も生まれています。家賃が上がらないため、多くの入居者が引っ越しを見送り、空室になる物件が減っているのです。その結果、市場で募集される賃貸物件の数はさらに少なくなり、新たに部屋を探す人にとっては競争が激しくなっています。 

実際にマンハッタンでは、賃貸在庫の減少が続いており、2026年7月の募集物件数は前年同月比で22%減少しました。また、空室率は約1.6%と非常に低く、借り手に有利とは言えない状況が続いています。 

こうした供給不足を背景に、マンハッタンの中央値家賃は月額5,295ドルと過去最高圏で推移しています。特にスタジオや1ベッドルームの需要が強く、単身者が探す価格帯ほど競争が激しくなっています。 

もちろん、家賃上昇の原因はレントスタビライズ制度だけではありません。長年続く住宅不足や、ニューヨークへの根強い人口流入も大きな要因です。しかし、「家賃据え置きによって退去が減り、市場に出回る物件が少なくなる」という構図が、現在の高家賃市場を支える一因になっていることは間違いなさそうです。